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ブログのサブタイトルの通り、昔はiPhone修理をやっていました。ちょうど5年前、iPhone5が発売した年です。当時、修理の対象はiPhone4、4Sでした。学生街でやっていたため、お客さんのほとんどは大学生。やんちゃな学生達が表も裏も割るので、店内の壁には毎日割れたパネルが増えていきました。懐かしいな。

そんな僕には、先日リリースされたiOS11.0.3のアップデートの内容が衝撃的でした。

・Apple純正部品を使って修理されなかったため、一部のiPhone6sで画面がタッチ入力に反応しない問題に対応
注記:非純正部品の画面に交換した場合、画面の品質が損なわれ、正しく動作しなくなる可能性があります。〜〜
今後、純正品以外のパネルはアップデートにより、正常に動作がしなくなる可能性があるという事です。巷のiPhone修理屋さんからすれば、死刑宣告のようなもの。なぜなら非正規修理店は、純正パーツでの修理をしないからです。
修理をしてパネルが綺麗になったのに、中身が動かなくなった。なんて事がこれから起きるかもしれません。
アップデートの内容にはiPhone6Sと表記されていますが、たまたま先日、自分のiPhone7のパネルを割って純正品でないパネルを購入し、自分で交換しました。その後、iOS11にアップデートしたところ、パネルがほぼ反応しなくなり、テザリングで電波を飛ばすだけのWiFiルータと化しました。
またパーツを買うのもバカらしいと思ったので、iPhone8の発売を待ち、機種変更しました。ホントならXまで待ちたかった。。
それでは、なぜ非正規iPhone修理屋は、純正パーツを使わないのか。経験者の裏話も含めてお話ししようと思います。実際に非正規パーツを使ったiPhone7の動作も紹介します。
この記事上での非正規パネルという表現には、純正パネルを再生したものも含みます。つまり、最初についているパネルのみ純正品という表現です。
なぜ街のiPhone修理屋は非正規パネルを使うのか
Appleは純正部品の販売をしていません。すると、非正規のiPhone修理屋が、純正パーツを仕入れるとなれば、販売しているiPhoneから取り外すしかありません。なので、非正規修理店が正規パネルを使っている事は、ほぼ有り得ないと言えます。純正パネルを使うと採算が取れないからです。
去年発売のモデル、iPhone7を例にします。
「iPhone 修理」でiPhone修理屋を検索した、パネル割れ修理の価格を調べました。1万円〜1万2千円くらいが今の相場のようです。つまり、1万円以下の仕入れ価格でないと、利益は出ません。
中古iPhone7の相場を調べると、5万円程でした。
http://www.comshop.co.jp/iphone_souba/iphone7.html
一番安い32GBのモデルでも、4万円前後です。パネル割れのために中古iPhoneを仕入れたところで、約3万円の赤字。パネル以外のパーツも修理で使えますが、iPhoneのパーツで一番高いのはパネルです。修理頻度も含めてね。
という理由から、非正規修理店が、正規パネルを使って修理する事はほぼ有り得ません。
ちょっとしたiPhone修理の裏話
その1 非正規パネルの仕入れ相場
iPhone修理をやっていた時、パーツの買い付けに中国に行った事があります。自分の目で品質の確認をしたかった事、現地の業者と実際に会ってみたかったからです。iPhoneの非正規パーツは、ほぼ中国で作られています。
非正規パネルにはグレードがあります。オリジナル、A+、コピーと、名称は変わったりしますが大体3種類くらいです。
最近の取引はありませんが、当時の業者から未だに修理パーツのカタログが送られてくるので、小まめに仕入れ値のチェックをしています。
先ほどの例のiPhone7でいえば
オリジナル | 83.9$ |
グレードA+ | 76.5$ |
コピー | 29.57$ |
くらいが今の相場のようです。この値段は、発売してから1年くらいにはこれくらいの値段になります。毎年の事ですが、発売したばかりの機種のパネルは、3〜4万円します。これは5年前に僕がiPhone修理屋をやっていた頃から同じサイクルです。なので、発売してすぐのiPhoneを壊したお客さんには、正規店での修理を勧めていました。バックアップを取っていない場合、水没した場合を除いてね。
ちなみに輸入になるので、ドルでの取引です。5年前は円高だったので良かった。値段から見ても、iPhone修理屋さんは安いパネルを選ぶと思わない?そんな事はみんな知らないもんね。
その2 儲かる修理は?
非正規iPhone修理屋さんが一番喜ぶのは、水没修理です。なぜなら原価がかからないから。
分解洗浄料を取るお店と、復旧したら修理費がかかる場合と二種類あります。うちは後者の成功報酬型でやっていました。防水機能がついたので、水没修理も廃れていくと思います。昔はiPhone水没修理専門店をこのウェブサイトでやっていたんだけどね。
その3 中国の業者は割れたパネルの買取もしている
これもiPhone修理屋の収益の一つになっています。これも発売してからの時間によりますが、2〜3000円くらいの高額で買い取ってくれます。これを再生してコピーパーツを作ってると思われます。
非正規パネルに交換したiPhone7の動作
9月中旬、自分のiPhone7のパネルを割りました。正規修理店で直そうと思ったところ、うっかりApplecare+に加入していなかったため、自分で直そうと思い、Amazonにてパネルを購入しました。一応出品者を見ると、大体が中国の業者か個人。
これは買ったところとは違うやつだけど、お値段としてはこれくらいかな?探して見ると、2000円〜5000円くらいの幅でした。ご丁寧に工具も付いてきます。
ところがこのパネルが不良品。出品者のGmailアドレスにその旨のメールを送るも返信は無し。ちなみに中国の業者。一度中国へ行った経験があるだけに悲しいです。現地の人は優しかったしいい思い出しか無い。
なぜ中国の業者を直接知っているのに、Amazonでパネルを購入したのかというと、送料がバカ高いから。仕事なら大量のパネルやパーツを仕入れるのでいいのですが、1枚単位で買うと向こうも嫌がるしこちらも負担がハンパない。なので国内発送のAmazonで探しました。失敗した。。
僕のiPhone7はこんな感じです。画面右がブラックアウトしているのは、不良品だから。フリックをした時に反応しないのは、iOS11からです。ちなみに電源ボタンやホームボタンも効きにくくなります。
ちなみにこの不具合はiOS11.0.3にアップデートしたところ無くなりました。
これから先は、Lightningケーブルが純正品以外使えなくなったように、パネルもそうなったと考えた方がいいでしょう。
今、非正規パーツで修理をしてしまった人
iOS11.0.3へアップデートしましょう。もしiOS10以前のOSの人は、アップデートは様子を見た方が良さそうです。
非正規修理店では、修理前に同意書を取る場合が多いです。もし非正規パーツが動作しなくなっても、修理店が責任を取ってくれる事はまず無いと思います。
まとめ
今までAppleが非正規パーツでの修理について言及する事はありませんでした。なので巷のiPhone修理屋が溢れていましたが、今回のアップデートの注記により、今まで通りにはいかなくなりました。
非正規パーツで修理した場合はiPhoneが動かなくなる可能性があります。元々Appleに依存した形のiPhone修理屋です。いずれかの形で非正規店での修理が出来なくなる事は予想出来ました。今営業しているiPhone修理屋さんは、一番多いガラス割れの修理が出来なくなり、今まで通り営業を続けられるのでしょうか。今後の動きに注目ですね。
問題は修理をする場所を知らない人が多い事。正規店も、非正規店も、詳しくなければ一緒だと思う人も多いでしょう。周りにパネルが割れている人がいれば、正規店での修理を勧めてあげてください。
Applecare+に加入する事は必須です。これはAppleの保証サービス。キャリアの保証プランは入らなくていいと思います。Applecare+だけで充分です。
久々にまともな記事書いたら疲れました。